ニュース&コラムnews&column
退去時に損をしないために、日ごろの暮らし方を見直そう
2022.04.07住まいのコツ
賃貸物件にも、始まり(入居)があれば終わり(退去)あり。日ごろの部屋での暮らし方によって、退去時の費用の支払いに差が出ます。退去費用の発生しやすい事例と、その対策法をご紹介します。
退去費用って? 敷金や原状回復義務について知っておこう!
まず退去時にかかる費用について説明します。退去費用と関わりがあるのが、賃貸物件の契約時に支払う「敷金」。敷金は、退去時にかかる修繕費用や家賃滞納の担保として、貸主に預けるお金です。退去費用は、この修繕費用が中心になると考えましょう。
入居者には部屋を退去する際、「原状回復義務」が課せられます。「原状回復」と言うと、入居時と全く同じ状態に戻さなくてはならないようなイメージがありますが、実際はそうではありません。
覚えておきたいポイントは、原状回復のために入居者が払う必要があるのは、故意や不注意による過失の補修費用のみ。経年劣化や自然損傷による傷や汚れは含まれません。つまり、物件に住んでいる間の暮らし方に気をつければ、退去時に損をせずに済むのです。
退去費用が発生しがちな事例と、その対策【リビング、廊下】
それでは実際に、どのような場合に退去費用が発生してしまうのか、よくある事例とその対策をご紹介します。まずはリビングや廊下での事例です。
・床の傷、へこみ
一人暮らしの部屋の床は、板張りのフローリングや、ビニール製のクッションフロアが一般的です。どちらの素材の床も、硬いものをぶつけたり、重い家具や家電などを長期間置いていたりすると、傷やへこみが付いてしまいます。
傷は引越しの際に付くことが多いので、養生シートを活用しましょう。大きな家具や家電の下には、専用のシートやマットを敷くのがおすすめです。ダンボールで代用もできます。
・壁紙の傷、におい
壁紙の傷と言うと、まず思い浮かべるのはポスターやカレンダーを貼った画鋲(がびょう)の穴。画鋲の穴は数カ所ほどであれば、特に問題にはなりません。ただあまりにもたくさんあったり、釘やビスを打ち込んだりした場合には、補修の必要があります。
また、タバコのにおいには要注意! 部屋の中でタバコを吸っていると、壁紙が黄ばんでしまうこともあります。ほぼ確実に補償の対象になるので、室内での喫煙はしない方がいいでしょう。またバルコニーでの喫煙はほとんどの物件で禁止されているので気を付けましょう。
退去費用って? 敷金や原状回復義務について知っておこう!
次に、風呂、キッチン、トイレなど水回りでの、退去費用が発生しがちな事例とその対策法をご紹介します。
・水回り、窓回りの汚れ
一般的なカビ対策を行わないと、拡大したカビに対して「損耗を超える」と判断されることがあります。風呂やトイレは、マメに掃除をしましょう。白っぽい水垢やピンク色の赤カビには、メラミンスポンジやクエン酸を使います。また黒カビは、ハイターやブリーチといった塩素系漂白剤をかけて、時間を置いてブラシでこすると、落としやすくなります。
また窓は結露によって、ガラスやサッシにカビが付いたり、木枠が傷んだりしがち。結露が発生したら、なるべく早く拭き取り、窓を開けて換気をしましょう。結露専用の吸水テープやシート、防止スプレーも効果的です。
・コンロや換気扇回りの汚れ
ルームクリーニングでは落とせない油汚れに対しても、退去費用が発生することがあります。キッチンのコンロや換気扇、レンジフードは、放っておくと、頑固でしつこい汚れがたまりがち。その汚れの正体は、ほこりと油が蓄積したもの。
レンジフードにはフィルターカバーを、コンロの天板にはアルミのマットを使うと、汚れが防げます。コンロの五徳(ごとく)や換気扇の汚れは、洗剤を入れたぬるま湯でつけ置きが効果です。
退去費用の支払いが発生するのは「故意や不注意による過失の補修費用のみ」でした。敷金から支払えるものの、限度を超えると追加費用が発生します。この記事を参考に、日ごろの暮らしを見直して、退去時に備えておきましょう。